東京は小説より奇なり
眠たげな甘さを… 6月4日 22時 /蒼雅と朱彗の古… 5月25日 0時 /1月下旬、寒凪… 2024年2月19日 15時 /12月24日。その… 2023年12月5日 0時 /何でもあるよう… 2023年11月30日 2時
メッセージ一覧
眠たげな甘さを含んだ空気が漂う春、土曜日。
この四月にできたばかりだというショッピングモールに花梨はいた。友人である翔太と静流と一緒に、コーヒーが絶品だと言うカフェに向かう途中だ。
「コーヒーが美味い店は信用できる。これ、俺調べ」
「どういう根拠なの、それ」
「俺調べっつったら俺調べなんだよ」
やいのやいのと言葉を交わす翔太と静流に挟まれながら、花梨は絶品だというコーヒーの味と香りを想像してみる。一様に絶品といっても色々ある。苦味の強いタイプか、酸味の強いタイプか、それともどちらも強いタイプか。花梨は普段、紅茶とコーヒーだったら紅茶を選ぶが、コーヒーも結構好きだ。
「翔太は、コーヒーが美味けりゃなんでもいいんだろ」
ぼろろとこぼした言葉に、そんなことないよお、と翔太が頬を膨らます。静流が、コーヒーの付け合わせは何があるかな、とぼやいた。
ここ最近で建設された、しかも大型のショッピングモールだが、意外と知り合いに遭遇しない。今度は真冬や怜斗と来ても楽しいかもしれないな、と思った。


「まあそんなところかな」
「本当は牢君と2人での予定だったんだけど」
「彼の言うことは気にしなくていいよ」
口を尖らせて不貞腐れる冥に月夜はヒラヒラと手を振った。
「そっちの白いの誰?初めて見るんだけど」
十朱の髪は生まれつきだろう。星夜のデリカシーの無い発言を放っておくのは流石に気が引けた。
「星夜さん……。ごめんね、十朱君。こっちは月夜さんと星夜さん。僕の従兄弟なんだ。」
「うわっ、すっげぇ久しぶりに見たわ牢の優等生モード!」
星夜のデリカシーの無さは筋金入りだ。全身が一瞬硬直したのがわかる。顔もおそらく引きつっているだろう。
「星夜……。」
これには月夜もドン引きのようだ。


蒼雅と朱彗の古い友人だという十朱が転校してきて早数日。彼は度々生徒会室に顔を出すようになっていた。と言うか、人目を避けたがる冥のために俺たちは生徒会室で昼食をとっているのたが、そこをたまり場にしているのは何も牢と冥だけでは無いということで……。
ガラリと音を立てて生徒会室の扉を開けるとそこには既に3人の姿があった。どうしたって十朱の白い髪は目を引く。転入早々こんなところに入り浸っていては彼がまるでクラスメイトを避けているみたいにならないのだろうか。
「あ……。3人とも早いんだね。十朱君、どう?もうクラスには慣れた?」


「いや、あれは早いとか遅いとかの問題じゃねえだろ。他人への興味とか関心ってもんが欠落してるっつーか……。お前らどうやってあれと仲良くなったんだよ」
他人への興味が無い点に関しては自分が言えたことではない。が、あまりにも彼には言葉というものが意味をなさない。まさに“暖簾に腕押し“だ。いや、まだ暖簾に腕押しをした方が手応えがあるレベルだ。
「僕、ちょっと疲れちゃったよ」
冥がようやくいつもの通りに口を開いた。
俺の態度を見てどう振る舞うべきかずっと模索していたのだろう。
「悪かったな、冥。」
「ううん、牢君が謝ることじゃないよ」


「俺ら以外に興味がないかどうかは分かんねーけど……」
「いや、俺も多分そうだと思うよ」
答えにくそうにする花梨の代わりと言わんばかりに、翔太が牢の言葉に賛同する。花梨が困ったように苦笑いした。
「俺としても彼奴の交友関係が広がってくれるのは嬉しいけど、余計なお世話になんねえかなって」
「まあ、好きでひとりな奴とか結構いるしねえ。俺は彼奴はそういうタイプだと思うよ」
翔太は弁当を食べながら、何食わぬ顔でそう言う。正確に言うと、静流は翔太と花梨がいればそれでいいと思っているタイプだと、翔太は理解していたし、花梨もそれを薄々感じ取っていた。


1月下旬、寒凪の昼放課。
休み明けの書き初め大会が終了したのも束の間、今日の星雲学園校内は、バレンタインデーに向けて妙な賑やかさを見せていた。


「はぁ〜?俺はそれでいいんだよ、可能性あるって勘違いされる方が迷惑だっつーの」
外面を取り繕う相手がいないので、翔太は言いたい放題だ。あまり目立たないだけで翔太のことを好きだという女生徒は一定数いる。こじんまりとだが校内に愛好会ができていることを本人も認知しているーーー知った時は鬱陶しそうな顔をしていたが、歌手としての自身を好いている面子がいることも考慮して、特に解散を強たりするつもりはないらしいーーーーはずだが、お構いなしである。つい最近、翔太宛のラブレターを仲介してほしいと女生徒から頼まれて困り果てたことを思い出して、花梨はこっそり苦笑した。
「ま、なにかいい噂のネタがあればそれとなく流しておいてあげるよ。僕の気が向く範囲でだけどね」
「そいつぁ期待せずに待ってるよ」
翔太はほんとに期待してないようだったが、高確率で静流は気が向いてくれるだろうな、と花梨はなんとなく思った。花梨が知る限り、静流はそういう人間だ。
身近な人物同士のスキャンダルとなると花梨も何となく落ち着かないので、話を振られたら否定するぐらいはしてやろう、と心の内で決めた。


何でもあるように見えて何もない都市、TOKYO 有為転変は星雲の習い
⚠️こちらは現代軸専用ボード⚠️
⚠️現代の話は全部ここに入れてOK。パラレルifはNG⚠
💠星雲学園内部の校則や行事等は固定の枠で随時更新💠


🏫星雲学園年間行事一覧表🎇
4月 入学式、始業式、身体測定・スポーツテスト、部活勧誘、☆ボート大会
5月 ★校外研修(中1)、☆体育大会、中間考査
6月 ★学年旅行(高等部)
7月 三者面談、終業式(、水泳学校、補習授業)、期末考査
8月 夏季休業
9月 始業式、☆文化祭
10月 ☆芸術鑑賞会、選択科目説明会(中3〜高2)、中間考査
11月 ★学年旅行(中等部)、☆校外地学実習(高2)
12月 三者面談、終業式(、スキー学校)、期末考査
1月 始業式、☆書き初め大会
2月 ☆次期生徒会選挙、三者面談 学年末考査(内部進学生除く)、内部進学入試(内部進学生)、高校入試
3月 卒業式、終業式


🎓星雲学園の校則一覧💼
生活規則
・染髪は蛍光色以外はOK、地毛の場合は先述のカラーリングもOK。
・アクセサリーは学業の妨げにならない程度ならOK。.
・私服登校は禁止。
・スマートフォンは持ち込み可能だが、休憩時間と特別授業時以外は原則使用禁止。
・ゲーム機器は持ち込み禁止。
・業間外出は禁止。届け出を出して受理されれば可。
・朝のSHRは8時30分開始。それ以降の登校は「遅刻」となる。高等部であまりに遅刻や欠席が多い生徒は、稀に進級判定会議にかけられる。
・アルバイトは特に制限しないが、学業を疎かにしないことが大前提。補導対象になる時間帯のものは禁止。
・昼食は購買の使用可。食堂は高等部のみ使用可。
・法律に反するような行為はもちろんNG。
クラブ活動
・部活及び同好会の所属は強制ではないが、進路を考慮すると入部が推奨される。
・生徒会執行部はクラブへの所属は免除となる。
・活動頻度は各団体に委ねられる。
・部活及び同好会の設立を生徒が行うことは可能。部活は10人以上、同好会は4人以上の所属生徒を必要とし、また共通して顧問を1人以上つけることを条件とする。
・兼部可能。生徒会活動に支障をきたさなければ、執行部の生徒もクラブ所属は自由。
・退部や移籍は自由だが、短期間に高頻度で続いた場合は一定期間のペナルティ有り

