星雲創作同好会 会室

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中村 (プロフ) [2月17日 21時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

ゴールデンウィークが明けて賑やかさの戻った、5月の午後。
今年度で高校3年に進級した真冬は、左隣に二人の新入部員を連れて、特別棟の廊下を歩いていた。今日はこれから、創作同好会の面子と新入部員の顔合わせだ。
新入部員のうちのひとりーーー朱彗翔太は見るからに機嫌が悪そうに、頬を膨らませてそっぽ向いている。真冬は呆れて、ため息をつく気にもなれない。
「ったく、いつまで不貞腐れてんだよ」
そう言って翔太の頭を撫でたのは、蒼雅花梨。彼も今日の主役のひとりだ。というか真冬的には、彼ひとりだけが今日の主役になる心積もりだった。
「不貞腐れてないよ。ちょっと複雑なだけ」
「何がだよ?」
「あんな奴が花梨にくっついてきてることが」
「お前なあ……、真冬さんは悪い人じゃないって」
ぷいっと顔を背けて物申す翔太に、花梨は困ったように頭を掻いている。その姿はあまりにも苦労人で、同情せざるを経ない。花梨はやがて翔太を説得することを諦め、真冬の方へ頭を軽く下げた。
「すみません、真冬さん」
「いーよ、お前が謝ることじゃねえだろ」
真冬は翔太と初めて顔を合わせてもう1年ほどが経つが、一向に相容れる気がしない。彼との初対面もひどいものだった。思い出してもちっともいいことはない。

中村 (プロフ) [4月4日 22時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

今からでも翔太を帰して花梨だけを部に迎えたい気持ちはあったが、我儘を言ったところで花梨を困らせるだけだ。それに、花梨が入部する上で翔太がついてくる条件を自分は呑んだ。今更如何こう言うつもりはない。
一息ついて、それよりも、と別の話を切り出す。
「いつになったら敬語外してくれんの?」
花梨があからさまに、ゔっと言葉に詰まった。真冬は花梨の顔に自分の顔を近づけて、じぬろとわざとらしく睨みつける。
「やっぱ先輩なんで、中々難しいですよ」
「いつになったらタメで話してくれる?」
「……、も、もうちょっとだけ待ってください」
花梨は真冬の強い眼光から目を逸らしながらだったが、たしかにそう答えた。
「待ってるからな」
その日が待ち遠しいが、悪くない回答が得られた。にっと笑ってみせると、花梨も照れくさそうに笑い返してくれる。
するとそれを良く思わない翔太が、花梨の腕を引っ張って真冬から引き離した。
「近すぎだろ。何をそんなに近づく必要があるわけ?」
「……お前にだけは言われたくねえな」
お互いの言葉に物騒な感情が込められていたことが、花梨にバレていないといい。自分たちの野暮な争いに彼を巻き込むわけにはいかない。
そうこうしているうちに、お目当ての部室が近づいてきた。窓から中を覗き込むと、十六夜兄弟と駒冴が談笑しているのが見えた。一息ついて、扉をガラガラと開く。
「よお。新入部員、連れてきたぞ」

中村 (プロフ) [4月4日 22時] 2番目の返信 PCから [違反報告]
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