嘘からでた恋

メッセージ一覧

トリックスターの真実の愛

3人の隊長と座長の剣士@風邪気味 (プロフ) [2024年2月29日 13時] [固定リンク] PCから [違反報告]

「ん〜…ようやく終わった…」
学校からの課題を終えて伸びをすると、そろそろお茶にしようと思い部屋を出る。ここには幼い頃からずっと住んでいるが、洋館をそのまま自宅にしたようなこの家の広さには14歳になった今でも驚かされる。
えぇと、キッチンはこの辺りだったかな…
客間の前を通り過ぎようとした瞬間、不意にドアの向こうから知らない男性の声が聞こえてきた。内容は分からないが父の話し声もチラチラ聞こえてくるので、恐らく仕事関係で来られた方なのだろう。
もし会ったら挨拶しておこう。そう思いながら、足音を立てぬようにキッチンへと静かに移動した。

3人の隊長と座長の剣士@風邪気味 (プロフ) [2024年2月29日 13時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

「はい。これからは…ん?」
微かな気配を感じ、その方向であるキッチンへ目線を向ける。自分より少し小さいぐらい背丈の人影の姿を確かに捉えた。条件反射で銃口を向ける。
「や、やめなさい!」
すると、雇い主に慌てて止められた。どうやらあの人影は雇い主の…娘らしい。
兎にも角にも失礼な事をしてしまった。なるべく丁寧な謝罪をする。
「これは、大変失礼しました。申し訳ございません、てっきり不審者かと…」
雇い主は快く許してくれた。が、何故かせっかくだから自己紹介をしなさいと言う。
子供への苦手意識が顔に出るのを必死に堪え、笑顔を作る。
「ええ、分かりました。是非会わせて下さい」

スノードロップ (プロフ) [2024年2月29日 13時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

銃口を向けられてなんて気づいていない陽一は、キッチンの前に落ちていた飼い猫達を撫でていた。客間から何やら揉めるような声が聞こえてきた気がするが、まぁ大丈夫だろう。
「よしよし、後でおやつ食べような」
グルグルと上機嫌そうに喉を鳴らす猫達から手を離して立ち上がると、後ろから人の気配を感じて振り返る。見ると、そこには父と見知らぬ男性が立っていた。父によると、この男性は父の仕事の関係者で、今日は話し合いということで家にやってきたそうだ。
へぇ、と思いながら黙って話を聞いていたが、しばらくして挨拶しなければと思い慌てて口を開く。
「えと…桃寺陽一です…!父がお世話になります…!」
両親とファミリーネームが違うことや名前が日本人っぽいことに疑問を抱かれるかもと思ったが、別に複雑な事情があるわけでもないしいう必要もないだろうと判断して言わないでおく。

3人の隊長と座長の剣士@風邪気味 (プロフ) [2024年2月29日 14時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

その自己紹介は、子供にしては案外しっかりしている印象を受けた。親の教育の賜物だろう、これぐらいなら話せる。
しかし色々と彼女について気になる点はあったが、父親である雇い主の前でそれを言うのは失礼に当たるという物だろう。
まずは友好的に接しなければ。
質問を飲み込み、人の良さそうな笑みを浮かべる。
「ええ、こちらこそお世話になっておりますよ。私の名前はキャンベル・パーカーと言います、これからよろしくお願いしますね」
そして握手のため右手を差し出す。すると握り返された。伝わる感触は見た目とは裏腹に少女の物であるのが分かる。
挨拶を終えると、奥からニャーと鳴き声がする。猫か。
「猫を飼っているのですか?私も好きですよ」
自分の飼っている動物の話をされて嫌な顔をする人はいないだろう。

スノードロップ (プロフ) [2024年2月29日 14時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

緊張してしまい不快感を与えるような挨拶になってしまっただろうかと不安になったが、どうやらその心配はいらなかったようだ。安心した様子でギュッと握り返すと、差し出した右手が心地良い温かさに包まれた。
手を離してもまだ残っている感触と温もりに浸っていると、向こうから飼い猫達の声が聞こえてきてハッとする。おやつをあげに行こうとすると「猫を飼っているのか」と尋ねられた。
「はい、ラグドールとラガマフィンを1匹ずつ…パーカー様はどんな猫が…」
言い終える前に痺れを切らした飼い猫達がやってきて、陽一の足に抱きつきながらおやつのおねだりをしてきた。父親に「早くあげてきておいで」とアイコンタクトされ、「それじゃあ、私はこの子達におやつをあげに行きますね」と言ってキッチンの方に向かった。しかし2、3歩進んだところで足を止めるとクルリと後ろを振り向いて「あとで紅茶か何か持って参りましょうか?」と、父にも母にも似ていない水色の髪を揺らしながら尋ねる。

3人の隊長と座長の剣士@風邪気味 (プロフ) [2024年2月29日 15時] 5番目の返信 PCから [違反報告]

「良いのですか?では紅茶をお願いします」
そう答えると、彼女はキッチンへと消えた。好物が貰えると知り、少し嬉しさが増す。が、気を緩める事だけはしなかった。ここに仕事として来ている限りリラックスなど到底できない。緊張を握りしめ、雇い主と客間に戻る。対面してお互い元の席に座った。まだ椅子に残っていた自分の体温が染み込んでくる。
てっきりそのまま仕事の話をするのかと思ったが、娘が部屋に戻るまでは適当に雑談をしようという事になった。何故かと問うと、「娘には仕事の事はあまり話していないんだ」そう返ってきた。
深堀りされたくない話題なのだろう。罪悪感の入り混じったようなその表情からもそれが読み取れた。
話題を変える事にしよう。パッと思い浮かんだ話題の手札の中から一枚を出してみる。
「娘さん、かなりしっかりしていましたね。何歳なんですか?」
途端に、雇い主は娘について語り出した。
丁度いい。彼女が普通の子供なら興味も無いが、雇い主の子供となれば別だ。彼女からの信頼を勝ち取れば、必然と雇い主からの信頼も勝ち取れるだろう。
そんな目論見をひた隠しにして、雇い主の話に相槌と質問を繰り返していた。

スノードロップ (プロフ) [2024年2月29日 16時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

愛猫達に某液状おやつを与えてから紅茶の準備を始める。大量の紅茶が入っている棚を眺めながら何の茶葉にしようかと目を動かしていたが、やがて先日購入したアールグレイに手を伸ばす。アールグレイならミルクでもストレートでも美味しく飲めるから、来客用にピッタリだと判断したようだ。そのままこなれた手つきでお茶を淹れると、お盆にカップをのせて客室に向かう。
中に入ろうと声をかけようとすると、2人が談笑している声が聞こえてきた。どうやら自分のことについて色々話しているようだ。この様子だと、話題を最初に振ったのは親父だろう。
「失礼します。紅茶をお持ちいたしました」
ドアを開けてもらって中に入ると、2人の前にそれぞれカップを置く。父の親バカトークが炸裂していたかもしれないと思うと何となく恥ずかしくなり、白い耳がほんのりと赤く染まる。

3人の隊長と座長の剣士@風邪気味 (プロフ) [2024年2月29日 17時] 7番目の返信 PCから [違反報告]

「紅茶をお持ちいたしました」と僕の目の前にカップが置かれる。湯気立つカップのそばにはミルクが付いており、彼女の気遣いを感じた。いつもストレートで出されるので不服に感じていたところだった。ふと彼女を見てみると、耳がほんのり赤くなっている。自分の事についてああもベタ褒めされていては照れるのも仕方ないだろうか。話題を振ったのはこちらだが。「ありがとうございます」とそんな彼女に雇い主と共に礼を言う。

スノードロップ (プロフ) [2024年2月29日 18時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

「…それでは、失礼いたします」
真っ赤な顔を2人に見せないように俯きながら部屋を後にすると、自身で閉ざしたドアから急いで離れると、お盆を適当な場所に置いて自分の分の紅茶を淹れる。まだ緊張が解けきれていないのか、ティーポットを持つ手が若干震えている。まさかだと思うけど、あのまま話脱線したりしていないよな…?いや、親父に限ってそれはないと思いたい…ミルクティーにして早足で自室に戻ると、顔にこもっている熱を外に吐き出すように深呼吸をする。
…自分で言うのもおかしい気がするが、1人娘である自分が可愛いのは分かる。だがあんな風に俺が知らないところで色々言われると恥ずかしいというかなんというか…
カップに入っているのはいつも飲んでいる紅茶のはずなのに、熱さ以外何も感じることができなかった。

3人の隊長と座長の剣士@風邪気味 (プロフ) [2024年2月29日 19時] 9番目の返信 PCから [違反報告]

しばらく雇い主と雑談して、彼女の好きな物、嫌いな物、父親への態度、運良く母親を苦手としている事も知れた。が、別にそれを聞くために呼び出された訳ではない。
「そうなんですね、お聞かせ下さりありがとうございます。ですが…そろそろ本題に入られては?」
彼女が立ち去ってもなお話を続けようとする雇い主を、苦笑しながら止める。「そうだったな」すると雇い主は我に帰ったのか、崩していた足を組む。さっきまで普通の家庭人だった男が、いつもの裏社会のボスの雰囲気へと早変わりした。心なしか部屋の温度が下がった気がする。
そうして告げられた仕事内容。機密情報が入っているからとメモを取る事すら禁止にされたので、脳の皺一つ一つに内容を叩き込む。疑問に思った点を隠語だらけの会話で補填していき、契約はあっという間に成立した。
「よろしく頼む」「ええ、必ず果たして魅せましょう」久しぶりの隠語ではない言葉で、任務の成功を保証した。
「では、そろそろ私は…」
そう荷物をまとめて去ろうとした時、「待て」と呼び止められる。
どうやら、今の僕の家と任務の場所とではあまりに遠いから、ここに泊まって行った方が良いとの事だった。
「…分かりました、お言葉に甘えさせて頂きます」

スノードロップ (プロフ) [2024年2月29日 20時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
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