真祈のボード
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失礼致します、！！ひらぎ。です。
彼に私の想いを気持ちを伝える。そのせいか少し胸が痛い。だけどそれは、何時も感じるものとは違う。彼が楽しそうに、愉しそうに私以外の人と笑い、話し合っている所を見てしまった時の沢山の棘で刺される痛みではなく、あの人の異能力によって押し潰されたような、窮屈で苦しい痛みだった。 「話したい事があります」 手汗をかいて緊張しながら伝えると、何時もの優しい表情で"Yes"、の返事を直ぐに出してくれた。そして激務の間を縫って私に会いに来てくれる。その事実だけで謎に浮かれてしまう。約束の時間に迫ると比例して激しく動き出していく鼓動。その鼓動は秒針より速く、カチッ、カチッ、と鳴る音をかき消して仕舞うほどだった。
何時もは一房結ぶだけの何もしない髪を不自然にならない程度に軽く巻く。そして気持ち悪い、そう思われるかもしれないが彼の瞳と同じ色のピアスを着けた。この街の春の風が彼の為に気を入れた髪を膨らませ、ピアスを撫でる。色んな想いが、思い出が詰まるこのヨコハマが一望出来る展望台。春の季節に入り、少しづつ温かくなっていた。だが、今は闇を仕切るポートマフィアの時間で海辺と言う事もあり、少し肌寒かったのだが、今から彼に思いを伝える。これからの事を思うと緊張からか冷や汗だろうか。じんわりと肌を湿らせた。今はどれだけ腕時計の秒針を見ても約束の時間にならない。そんな当たり前の事にも彼の事を思うと気付けなくて。漸くしてやっとそんな当たり前な事に気付け、少しでも彼から意識を逸らす為に呆然とこの街の景気を見つめていた。今迄の思い出や、彼への想い出を小説を読む時みたいにゆっくりと一枚一枚頁を捲る。その度に彼の優しさの中にある暖かさを感じて心が暖かくなっていく。
その時。約束の時間ピッタリ、好きで好きで好きで堪らない彼の低い声。だけど、その中には優しさしか含まれて無くて。早く彼を見たく、勢い良く振り向いた。そうすると彼の目と交じり合い、既に落ち着いていた鼓動も巻戻り。秒針よりも速くなり、動く音も鳴り消した。だけど、＿＿何故だろう、哀しいなぁ、…。ゆっくりと涙が溢れ出てしまい、不器用ながら頑張って背伸びした化粧も落ちてしまう。彼にそんな姿を見られるのが恥ずかしくて慌てて俯いた。でも矢張り腹立つ程に優しい彼。直ぐに駆け寄ってくれて、彼の男らしいごつごつとした手が私の背中を擦りながら優しい声を掛けてくれた。そして、気付いてしまったのだ。私はなんて馬鹿な事をしたのだろうか。彼は私の事なんて見ないだろう。もし、この思いを伝えた所で彼の返事は分かっているじゃないか。迷惑をかけるだけだ、と。こんな当たり前の事に漸く気付いた。
何故かその時には、止まることを知らなかった涙は止まり、溢れずに逆に、引っ込んでいた。そして、何時も仕事の時に向ける顔で、確りと彼の目を見る。結果は分かっているんだ。伝える事だけは許して欲しい。こんな哀しい事に気付くなら永遠にとても趣味の悪い催眠術に掛かっていたかったなぁ、なんて馬鹿げた事を思いながら任務後の任務結果を報告するように 「好きでした」＿ ただそう伝えた。
少し長いですが宜しくお願い致します、！！
ひらぎ。 (プロフ) [2022年6月26日 22時]
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