鈴凛のボード

鈴凛のプロフィール | 発言 (鈴凛の最後の書き込み: 「皆様のアカウントフォ...」 @【あいいら】壁打ちボードの話題 [11月7日 21時] )

メッセージ一覧

二次創作メモ

鈴凛 (プロフ) [1月3日 23時] [固定リンク] PCから [違反報告]

文スト 太宰治
「君、私の事が好きなのかい?」
一人きりのはずの自室に響いた声を私は知っていた。真っ暗闇の中、唯一光を発していた携帯が手から滑り落ちる。上を向いたスマホの白い光あり得るはずがない。一人きりの自室で声がすることも。彼の声が電子機器以外からすることも。震える手でスマホを掴んだ。上手く動かせないスマホの画面が目まぐるしく変わる。フラッシュライトの付いたスマホを、先ほど声がした方へ向ける。言葉を無くした私の手から、再び抜けたスマホが、彼の足元に落ちる。
「違うの~? ほら」
そう言って、私のスマホを拾った彼は、映っていた画面をそのまま私に向けてきた。
そこに映っているのは紛れもなく、彼の、太宰治の夢小説だった。

鈴凛 (プロフ) [4月1日 2時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

「なん、で・・・・・・」
「さあ? 君が犯人かと思っていたけれど、違う様だし」
そう言いながら、近くにあった部屋の電気のスイッチを付ける。
眩しさに目を薄めると、小声で「戦闘の心得があるようでも無いし」と付け加えた。
不安と恐怖を覚えながら、未だにチカチカする目で彼の方を見上げた。整った顔、高い身長、そして体の至る所に巻いてある包帯。紛れもなく、太宰治だ。
白い照明の中、ベットの上で放心している私に彼は詰め寄る。
思わず身を引くと、それをいいことに、彼はベットの上へあがり込んできた。布団が汚れると足元を見ていつも履いている靴は脱いでいることに気付いた。
現状の不安感から、思わず引き寄せた布団を掴む手に、彼は手を重ねてゆっくりと解く。そして、其の儘、恋人つなぎのようにして一つ、私の手首にキスを落とした。
「こうされてみたいんだろう?」
そう、妖艶に笑った彼は私の知る『文豪ストレイドッグスの太宰治』とは違った。
手を繋ぐのにも優しい手つきで、まるで慈しむ様にキスをして、今は上目遣いで子犬のように許しを請うような顔をする。
アニメや漫画で見る、ふらふらしていて、おちゃらけていて、それでもカッコいい太宰とは違う側面を見てしまった。数多の女性と浮名を流し、幾度も心中し、それでもまた、浮名を流す史実の「太宰治」の様な。
女たらしで、人を狂わせる。
それでもどうしようもなく惹かれている事実に、嗚呼、敵わないと思ってしまった。

鈴凛 (プロフ) [4月5日 17時] 2番目の返信 PCから [違反報告]

抵抗しない私を見て、彼は少し小馬鹿にしたように笑った。手を引かれベットに押し倒されて、甘く啄むようなキスを落とされる。少しずつ口に近ずくように、前腕、上腕、肩、首、頬、とキスをしたところで、ピタ、と止まった。顔を覗き込んだ状態から、動かない。
焦らしているのか、それとも求めさせようとしているのか。目を合わせ、真意を測ろうとしても、暗い瞳の意図は掴めない。
それどころか、「どうかしたの?」と目を細められてしまって、余計に分からなくなってしまう。
目が合ったままの数秒の沈黙に耐えかねて「いい、ですよ」と呟いた。
「何がいいの? ねぇ、君の口からきかせて」
そういう彼はニヨニヨと楽しそうに笑って、繋いでいない方の親指で私の唇を撫でた。甘い香りが立つ。思わず顔を真っ赤にした私を見ても、彼は笑ったままで、何かしようとすることはない。
「ひどい」
彼はその言葉を聞いて、「ふうん?」とお道化た様に肩をすくめて、
「君がそう思うなら、そうなんだろう」といつもの笑顔で笑う。
キュ、と喉の奥から変な声が漏れた。正しく、目の前にいる人が太宰治であると、理解してしまった。
文句を言ってやりたいのに、こんな現実存在しうるはずがないと、そう言いたいのに。
「ダメなのかい?」
そんな風に、飄々とした漫画で見る普段通りの、私の惹かれた太宰を見せられてしまったら、言わざるを得ない。
「大丈夫だから、キス、して」
ピッ、という音と共に薄暗くなった部屋の中で、太宰が満面の笑みを浮かべていた。
優しく口づけられて、口づけと同時に敵わない。そう、思ってしまった。

鈴凛 (プロフ) [4月5日 17時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

ゆっくりと、離された唇に私が太宰を見上げると、太宰は、ふ、と笑って
「ああ、美しい人。私は今日、遂に、生きてきた理由を見つけたのです。そう、私はあなたと心中するために今日まで生きてきたのです。」
そう言って、また唇にキスをして、私の手を取った。
「どうか、愛してくれるというのなら、私と、一緒に死んで呉やしませんか」
何も返せなかった。どう返したら良いのかも分からなかった。ふと、随分と日焼けしてしまった『斜陽』を思い出した。曖昧にはぐらかすように笑って、それだけ呟いた。
「・・・・・・マイ・コメディアン」
__________
白い東から射す光に起こされた。ふと周りを見渡しても、太宰はいない。ただ暖かい色をした少しの常夜灯が付いているばかりだった。
「ゆめ、夢、か」
夢だと分かって、冷静になって考えればわかる。きっと太宰さんは、私を利用するために、若しくは、完全に安全だと確認するために、私を口説き落としたのだ。
本当に心中するつもりだったのだろうか。するつもりだったのだろう。そうでなければ、私に愛を囁くはずがない。
本棚へ向かい、並ぶ坂口安吾の『太宰治情死考』を手に取った。
ああ、でも本当に、あの人は本当に酷い。狡い。口説き文句が、漫画で見たものと何ら変わらないのも。始めの方口説くような口ぶりだったのが、途中から普段のような口ぶりになっていたのも。キスして、と私の口から言わせようとしたのも。いつの間にか枕元に置いてあった、部屋の電気のリモコンをとって、部屋を暗くしたのも。何もかも本当に。
「ズルだ」
私の恋心と心中して、自分だけ生き延びる算段なのだから。

鈴凛 (プロフ) [4月5日 17時] 4番目の返信 PCから [違反報告]

FGO ロマニ

王に、英雄に、神に愛された子に、唯一の相手は不要だった。
何故なら、並び立てられる人など存在しず、又、存在する事すら許されなかったのだから。

オメガバースというものが有る世界で、ソロモン王は正しく、αであった。
王として君臨し、当たり前にイスラム世界で最も強いαだった。
βについては話す必要もなく、並々ならぬαでも彼の前ではなすすべもなく膝をつき、どんなΩの香りにも一切として靡かなかった。
人は皆一様に、彼の運命は誰だと騒ぎ立てた。
きっとどこかの国の王女様だという人もいれば、後の世にも存在しない絶世の美女だという人も、魔術に優れた王様なのだから、相手は武術に優れた王様だという人もいた。
はたまた、彼に見合う人など何処にも無く、運命の相手などいるはずもないという人もいた。

皆、市街に居るただの女の子が、その運命とも知らずに。

鈴凛 (プロフ) [4月12日 1時] 5番目の返信 PCから [違反報告]

ああ、嫌な夢を見た。今はそんな夢を見ている場合でもないのに。
「なんで、思い出させるのかなぁ・・・」
悪夢に魘され、目覚めてみたのは病院かと思うほど殺風景な近未来的自室で、もう何年もこの部屋で寝起きしているのに何故か未だに違和感が拭えない。
頭を振って悪夢やマイナス思考を飛ばす。
伸びをしてベットから降り、体のラインが出る白と緑の制服を身につけ、身支度を整える。洗面台にある化粧用品は薄く埃を被り、もう使われなくなってしまっていた。
廊下に出ると、始業時間の前だというのに、騒がしく職員達が慌ただしく行き交いながら、連絡事項だけを伝え、また小走りで駆けていく。
その脇を通り、途中何度か先輩の職員から腕に管制室へ届ける荷物を載せられ、喧騒の中心である管制室まで足を進める。
自動で空いた扉の先には、今だ人理の光を灯さないカルデアスが宙に浮かび、その近くで所長とDrロマンが何か話していた。
自分の席に着くと、スグに仕事が回され、矢継ぎ早に内容と提出期限だけを伝えられる。仕事の多さに溜め息を吐きながら、ふと隣の同僚に話しかける。
「所長達どうしたの?」
「なんか一般枠がどうこうって」
「魔術師足りないの?」
「いや、足りてるはずなんだけどね」
「ふうん」興味なさげなのがバレていたらしい。君が聞いたんでしょ。と言いたげな視線に、曖昧に笑ってごまかす。
人類に未来が無いと分かってから、カルデアはめまぐるしく変化した。始業時間、就業時間という概念は消え失せ、徹夜、早朝起きの職員も珍しくない。次々と降ってくる業務をこなす日々。
所長はその状況に苛立ちを募らせ、いつもポヤポヤしているロマンに当たり、そのポヤポヤした反応にまた苛立ちを募らせ・・・・・・。と、とにかく悪循環に陥っていた。そしていつも、その喧嘩の仲裁として売られるのは、面倒ごとはとことん避ける魔術師でなく、技術職で、その中でも若輩者。つまり、私みたいな人だった。
そして今もまた、その二人の話し合いがヒートアップして段々大きな声になっていく。
お願いだから、大事にならないでという願いとは裏腹に、段々と激化していき、職員達からの注目が集まる。それに応じて、私たちに対してもチラチラ視線が集まり始めた。

鈴凛 (プロフ) [4月21日 2時] 6番目の返信 PCから [違反報告]

若い技術者数人で顔を見合わせる。仕方ないと言いたげにみんなが首を振り、誰が行くか窺い合っているのを見て、仕方ないと気合を入れてロマン達の方へ向かう。今度絶対に奢ってもらおう。
更に激しさをましていた言い合いに、
「まあまあ」そう言って割入ったものの、所長の怒りは治まらないようで、ロマンを指さして、「アイツが!」と言い募る。
「Dr.ロマンがどうかしましたか?」
「レイシフトの一般枠を作るって言うの!」
「それは、どういう・・・」
困って目を向けると、ロマンは普段よりキリッとした顔で口を開く。
「魔術師の家系ではない、一般人を入れようってだけだよ」
「それは」
思わず言い淀む。今回もただの言い合い程度だと考えていたけれどそうでは無いらしい。今後の方針を決める喧嘩に口を挟んだことを後悔しながら、頭を回す。
「ドクター、何で一般枠を作ろうとしているんですか? こう言うのはアレですが、魔術の習得には多くの時間が必要と聞きますし、正直、その、戦力にはならないのでは・・・・・・」
「そうよ! 魔術のことを何も分かっていない一般人なんて足手まといになるだけよ! そんなものに時間やお金をかける余裕なんてないの!」
所長が味方を得たことで勢いづく。騒ぎはさらに大きくなり、野次馬なんてしない人でさえ、なんだなんだとこちらを見る。
「レイシフトの適合者は少ない。一般人だろうと人数が多いに越した事は無いと思うし、なにより、技術者や魔術師ばかりのカルデアで一般人の目線は大切だと思うんだ」
冷静な口調のロマンの話に、所長が言い返そうとして言いよどむ。
何か思う所があって、納得できる部分もあるのだろう。
「でもカルデアにはそんな余裕ないのよ!」
それもまた事実だった。今は一分一秒も無駄にできない。そんな言葉が飛び出すくらいの状況だった。所長達の言い争いは止まず、このままじゃ一向に解決しない。口を開こうとしてもなにを言えばいいのか分からず、また口を閉じる。
「ロマンとじゃ話にならない! レフ! レフはどこにいるの!」
激昂した様子の所長が、そう言って辺りを見回すのにつられ辺りを見回すが、彼らしき人物はいない。一人二人職員が席を立って、小走りで廊下の方へ向かう。レフ教授を呼びに行ったのだろう。
職員と目が合うと、気の毒そうと顔を歪められたり、後でお茶をしようとジェスチャーをされたりして、何で首を突っ込んでしまったんだろう。と少し前の自分の行動に疑問を持ってしまう。
雰囲気の悪い所長と、いつもよりはシャキッとしているものの未だポヤポヤしているロマンに挟まれて、何も言わず、只どうにかなれ!と祈り始めたところで、少し職員の一部の方で、ざわめきが発生した。

鈴凛 (プロフ) [4月21日 2時] 7番目の返信 PCから [違反報告]

太宰続き。
「また君かい?」
聞き覚えがあった。昨日聞いた声と全く同じだった。
まさか、いや、そんなことあるはずない。昨日よりはマシな、けれど震える手で付けたフラッシュライトが前と同じように彼を照らす。そこには、昨日と何も変わらない、整った顔に高い背、包帯を体に巻き、汚れたコートを身に着けた太宰治がいた。
「ゆめじゃ、ない?」
「そうなんだよ、悲しい事にね」
そう肩をすくめ、やれやれと首を振った彼は、一度しか来たことの無い私の部屋の電気を勝手知ったるとばかりに付け、呆気にとられている私を放って、勉強机の上を物色し始めた。
止めようとして、けれどどう声を掛けたらいいか分からず止まる。それでも意を決して口を開こうとした時、彼の手が止まって、「太宰治・・・・・・?」と呟いたのが聞こえる。その手にあるのは「人間失格」太宰治の生涯最後の完結作だった。
そうだ、確か机の上に置きっぱなしに・・・・・・! 思わず青ざめる。彼の、モチーフとなった人物の著作。それを彼が見るという事がどう影響するのか、私には分からない。
彼は私の方を一瞥した後、手元に目を戻し、ふぅんと本を開く。パラパラと冒頭を少し読み、本を閉じる。

鈴凛 (プロフ) [4月25日 0時] 8番目の返信 PCから [違反報告]

「流石、私! 別世界でも天才だね!! 君もそう思わないかい?」

鈴凛 (プロフ) [4月25日 1時] 9番目の返信 PCから [違反報告]

拍子抜けするほどあっけらかんと言った彼は、手に持っていた本を置いて、近くにあった本棚を覗いた。ふむ。と口元に手を当て、その背表紙を確認する。本棚を見て流れていく視線にまた心臓が嫌な音を立てた。
あの本棚には、明治大正期の文豪の作品を多く置いていた。太宰治、芥川龍之介は、勿論。中原中也、中島敦、坂口安吾、そして、織田作之助。
どういう反応をするのか怖いもの見たさで、彼の顔をうかがっていると、彼は何でもないかのような顔をして、一つ本を手に取る。
パラパラと数ページ読んでは、次、また次と、本を次々と手にする。
「私たちが本を書くような世界があるなんて、思いもしなかった!」
いや、彼女は私を知っている様子だったし、高次元的な世界かな? ページの仕組みも、高次元からの干渉という説も・・・・・・。
そう難しいことを呟きだした彼は、ふと顔を上げ、私の視線に今気づいたかのような顔をした。

鈴凛 (プロフ) [4月27日 2時] 10番目の返信 PCから [違反報告]
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