小夜レントのボード

小夜レントのプロフィール | 発言 (小夜レントの最後の書き込み: 「ずいぶん久しぶりだけ...」 @椿のボード [2018年7月28日 16時] )

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リクエストを書きに参りました。
『苦しむのは見たくない』
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「名人」と呼ぶ声が「永夢」になったのはいつだっただろう。
もうそれが思い出せなくなってしまっている程に長い間一緒にいてくれる僕の相棒の全てを、僕は知らない。
『苦しむのは見たくない』
「それは何もおかしなことじゃないでしょ」
貴利矢さんは笑う。
「自分だって、永夢のことを知り尽くしてるわけじゃないし」
「そうですか?
何だか色々調べ上げられた記憶があるんですけど……」
「あれは必要に迫られてだよ。
まぁ、勝手に調べたのは悪いとは思ってるんだぜ?
自分も」
貴利矢さんの全てを知りたい。
僕のこと言葉は、何てことのない冗談のようなものだと貴利矢さんは思っているのかもしれない。
けれどそれは違う。
僕は一度、CRで昼寝している貴利矢さんがすごくうなされているのを見つけた。
すぐに起こしたら、貴利矢さんは普段のように笑って誤魔化した。
その時、僕は相棒をまだ救えていないということ、そして何も知らなかったということが分かった。
それから、僕は貴利矢さんの全てを知りたくてたまらなくなったのだ。
貴利矢さんはそれからも時々うなされているみたいだった。
だから僕は、前に貴利矢さんが僕を調べ上げたように、貴利矢さんのことを調べ上げた。
おかげで随分と貴利矢さんに詳しくなれた。
そして、貴利矢さんがうなされ、苦しんでいる原因も分かった。
だったら僕のすべきことは、もう二度と貴利矢さんが苦しまないように助けてあげることだけだ。
☆☆☆
「そういえば、貴利矢さんもバグヴァイザーに入れたりするんですか?」
「入れるよ?
……ほら、この通り」
僕の素朴な疑問に答えるように、貴利矢さんがバグヴァイザーの中に入る。
僕は貴利矢さんが入ったバグヴァイザーを操作し、データを全て消去した。
もちろん貴利矢さんも消えた。
でも、こうすれば貴利矢さんは今は亡き友人と再会して仲直りできるのだから、悪いことじゃない。
貴利矢さんが苦しんでいるのは見たくない。
だから、これは僕にとってもいいことだった。
ただ、少しだけ。
「永夢、永夢!」
消去されていく中で必死に僕の名前を呼ぶ貴利矢さんの声が、やけに耳に残っていた。
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貴利矢を助けようとして貴利矢を殺した永夢でした。
リクエストありがとうございました!

つっつまー (プロフ) [2018年2月19日 19時] [固定リンク] PCから [違反報告]
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