海の底に沈んでみたいなぁと、ふと思う。私の好きな食べ物、服、人と一緒に沈みたい。出来れば、日常の一部分を切り取ったかのように、平然と息を止めたい。
好きな人と、物と、服と。幸せに沈んでいられる海底で、私は何を感じて過ごすんだろう。やっぱり、幸せ?それとも、不幸せ?どっちかしか、ないのかなぁ。
別に、沈んでいられるなら海底じゃなくたっていい。湖でもいいし、池でもいいし、もっと言えば水溜りでもいい。でも、湖や池は、すぐに見つかってしまうから。水溜りは沈んでいられないから。私は海を選んだ。
沈むって、どんなものだろう。綿菓子みたいに、ふわふわしていられるんだろうか。それだったら、雲になった方が早いかな。
沈むというものにしかない感情が、私は欲しいだけなんだ。沈んで、そこにあるものを丸ごと呑み込みたい。
他のもので得られるものなんて、私はいらないから。ただ、そのものが訴えかける空気を呑み込んで何かを生み出したい。
ふわふわならば、雲になればいい。苦しいのなら、大地で息を止めればいい。怖いのなら、お化け屋敷に行ったりホラー映画を見たりすればいい。
幸せなものと、私と、海底。化学反応が起きたら__
「×××」な。
今思い出せる感情はいらない。今行動を起こせば感じられる〝何か〟はいらない。
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