Libeccio

メッセージ一覧

701

Littorio (プロフ) [2018年9月19日 13時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

夏休み直前、とある面談室。幸葵は受け持っているクラスの生徒の一人と向かい合い、進路の相談を受けていた。
「……そうですね、総合的に見れば国公立も受けられるかと思いますよ」
成績表を手渡しつつもそう言い、幸葵は相手を……征花という名の少女を見つめる。可憐と言うには芯が通っているが、嗜虐心のくすぐられる存在。自制し続けてはいたが、幸葵は彼女に対し並外れた執着心を抱いていた。

666 (プロフ) [2018年9月19日 14時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

「…そうですか、わかりました。……ありがとございます。」
成績表を手渡された征花は、無表情、そして無感情な声で担任に向かってそう言った。元より自分の成績事情はそれなりに把握している、今更言われても喜ぶようなことは無い。
こんな考えだから同級生達から「感情がない」だの「心がない」だの言われるのだろうが、それは征花こ知ったことでは無かった

Littorio (プロフ) [2018年9月19日 14時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

「どういたしまして。……征花さんならまあ、大抵のことはこなしてしまえると思いますが、一応最後に将来の夢を教えておいてください」
それで終わりですので、と言いながら幸葵は手元の用紙にメモ程度に綺麗な時で征花の情報を書き込んでいく。
大したことは書いていない。成績や学習習慣、志望大学程度のことだ。……とはいえ幸葵の興味は、そこにも向けられているが。

666 (プロフ) [2018年9月19日 15時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

「……将来の夢……」
征花はその言葉をぽつりと呟いて、考えるような様子を僅かに見せる。
文系教科も理系教科もどちらもそれなりにこなせてしまうし、スポーツだって一通り出来てしまうし、征花個人の難点といえば友人付き合いがすこぶる下手なくらい。……何でも出来てしまうと、何にも興味が湧かない。征花はその典型だった。
「………ありません。」

Littorio (プロフ) [2018年9月19日 15時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

「現時点ではなし、と」
まあそんな気は薄々していましたけどね、と呟くと幸葵はペンを置き、紙をファイルにしまった。けれど口を閉じることはせずに、一つ、考えていることを口にした。
「力試しという意味合いで医者や裁判官、検事を目指すのはどうでしょうか。征花さんならどの職に就いてもそう失敗はしないはずです。ので、適当な職に就いて貯金をして、それから自分のしたいことを探してみるというのが良いんではないでしょうか」
俺はそういう余裕がなかったので最初から教師になりましたが、と呟いて、机を片付け始める。

666 (プロフ) [2018年9月19日 16時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

「医者…裁判官…検事……」
征花は言われた職業を呟く。ただそれは、どれにしようかと悩んでいるというよりは、ただただ復唱しているだけのようにも思える。声色にも、征花は感情がこもっていないのだ。
ただそうして呟いた後、わかりましたありがとございます考えてみます、と征花はまた機械的に言うに留めた。

Littorio (プロフ) [2018年9月19日 16時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

「どういたしまして」
幸葵も征花の言葉に無感情な声で返し、ではお気をつけて、と言いながら席を立った。夏前と言えど他の生徒の面談や補講もこなしていたために既に日は傾いている。
こういう時間帯が、幸葵は好きで、嫌いだった。人の少なくなる時間帯であり、自分の行動への目が少なくなるタイミングであるがゆえに。
「……くれぐれも路地を通ったり、寄り道などはしないように」

666 (プロフ) [2018年9月19日 16時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

「…お気遣い、ありがとございます」
征花はそう言って立ち上がると、面談室を後にする。一度荷物を取りに教室に帰れば、人が少なくなった時間帯といえど、まだ数人駄弁っているクラスメイトが目に付いた。征花が教室に入るその数秒間、教室内の空気が冷え込むような気がして、征花はそれが嫌いだった。
早く帰ろう、友人などいないのに誰に言うでもなく征花はそう呟いて教室を、そして校舎を後にした。

Littorio (プロフ) [2018年9月19日 16時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

白崎幸葵は犯罪者である。
白崎幸葵は一人の人間に異常に執着している。
そう断言できてしまえればどれだけよかったであろうか。今現在幸葵が執着しているのは、以前殺してしまいそうになった相手とは、違うのだ。しかも未成年。まあ前回の時も、未成年だったが。
けれど色々とまずいのが、自分の立場と年齢である。もう社会人になってしまった幸葵は、肩書きが教師なのである。教師がどうして、自分の生徒に対して罪を犯せようか。世間がどうして、それを許そうか。
「……帰りましょう」
誰に言うでもなく呟けば荷物を持ち、幸葵はさっさと学校を出る。けれど先程彼女に禁じた路地を通るのは自制か、はたまた欲の顕れか。

666 (プロフ) [2018年9月19日 16時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]

「はあ……」
やってしまったなぁ、と学校にいる時より幾分か感情が乗った声で征花は呟く。手には違う種類のコンビニのビニール袋、中には新作のスイーツやら菓子やらが入っている。
先刻担任から寄り道をするなと言われたのだが、帰りに寄ったコンビニで新しいスイーツを見つけそれなりにテンションが上がってしまった結果、甘いもの好きの征花はコンビニを何軒かハシゴしたのだ。お陰で予想よりも遅く帰るハメになってしまったのである。
「馬鹿な事するんじゃなかった……」

Littorio (プロフ) [2018年9月19日 16時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
返信数の上限を超えています。別のトピックを作成して下さい
メッセージの一覧に戻る
(C) COMMU