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来ましたっ
どうもっ
路地とかで始めますかっ
ですねっでは私からっ 大樹は路地を歩いていた。学校の制服の上から、いつもの緑色のパーカーを着た姿で。ただそのパーカーには血の染みが幾つもついている。もう取れないのだろう。ここにいるのは暇つぶしだ。誰か良い奴が通りかかったら、そのまま殺ってしまおうという考えで。…そこがマフィアの縄張りだということを知らずに
迅は暇潰しに、人の全く通らないはずの路地を歩いていた。自分の組織の縄張りであるそこは、取引以外では知り合い以外が通るはずもないのだが。「……」誰か、居る。背丈から見るに学生だろうが、着ているパーカーから、というかその本人から、血の気配がしている。
「……」人の、気配。それも不良とかではない、手練の人間の。口角を上げる、嬉しそうに狂喜的に。強いやつを血で染め上げること以上に、楽しいことはない。死んだ後のその血塗れの美しい遺体をおがむのは、大樹にとって最高の瞬間だ
相手の表情に狂気を読み取り、迅はポケットの中の銃の安全装置を外す。こういう相手は見た目に惑わされてはいけない。それに、こちらの縄張りに侵入してきたのである。「……貴様は、誰だ」銃を抜き、軽く深呼吸して迅は口を開いた。
「俺?俺は…うーん誰って……」誰だと聞かれて何と答えようか迷う。素直に名前を言えば、後でリーダーに怒られること必定。ならば、とほくそ笑んで口を開く「……虚飾、俺は仲間に虚飾って呼ばれてる。そんな物騒なもん持ってんなら俺のことちょっとは知ってたりすんじゃねーの?」
迅は虚飾という単語で記憶にサーチをかけた。そして数秒後、思い出したその情報を口にした。「林、大樹。未成年犯罪組織Diaboliの構成員の一人」なるほど、と一人納得したように呟き、トリガーに指をかける。なおさら見逃すわけにはいかなくなった。未成年であろうが、裏に属する組織の一員だ。領域を侵されるのは、困る。
「おっと、俺の名前知ってんのかー…困ったなー……」困ったなんてそんな様子を微塵も感じない声でそう言う。相手が銃のトリガーに指をかけるのが見えた。ヤバいかな、と思うも大樹はこんな所でくたばるようなやつではない。身体干渉を発動させ、思い切り地面を蹴って相手との距離を詰める。いつもの如く、蹴った場所の地面は軽く抉れている
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