名隠しの町

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蝙蝠 (プロフ) [5月6日 20時] [固定リンク] PCから [違反報告]

カーラード・ツェペーシャは吸血鬼である。映画などでよく見る、絵を描いたような、典型的な吸血鬼。敢えて違う所を挙げるとするならば、映画などで都合よく描写されていた弱点がまるきり効かないところか。
そうは言うものの、弱点はそれ抜きにしても非常に多かった。雨も、豆も、ニンニクも、火も。全てが全て、カーラードという吸血鬼を拒んだ。
だが、それを面倒だとか鬱陶しいとカーラードは一度たりとも口にした事が無い。口にした事がなければ思った事すらない。
これが本来の吸血鬼の有り方であり、本家の血族である証明なのだ。
そう思ってやまなかった。実際そうだった。
と、ここまでは一切此処では関係無い余興である。話を戻そう。現在カーラードはドラキュラ伯爵は何処へやら、人間様でも中々やろうとはしないタクシードライバーを営んでいる。理由としては地形の把握が楽にできるから。地形を把握する事さえできれば、同族を探す事なぞ簡単だ。現に、何人もの同族と出会うことが出来た。
とは言うが、それはカーラードがあからさま過ぎるのが原因なのであった。町はずれにある屋敷に住み、黒いマントにその出で立ち。これを見て誰が人間と間違えようか!
「…ん?」
そのタクシードライバーの帰り、屋敷までもう目と鼻の先という距離の時、人影を見た。黒のロングコートに、今にも地に着いてしまいそうな黒髪。
嗚呼、嗚呼、嗚呼!誰がその姿を間違えようか!祖国で仲よくやっていたあの友人ではないか!
「クロウ!!」
窓を開けると車のライトで照らされた相手へ自然と声を掛けていた。

専用

蝙蝠 (プロフ) [5月6日 20時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

突然だが、躯朧は行き場所に困っていた。
そこで、昔の友人が近くに住んでいるらしいという噂を耳にした。
しかもどうやら、何故かタクシードライバーをしているらしい。
まぁ、躯朧にはタクシーが何かわからなかったが。
「……ここか」
もう帰って来ているだろうか?
面倒くさいと思いつつ、友人に会いたい、とか助けてほしい、とかいう気持ちでここまで来てみたのだ。
そう考えて、扉に近づこうとした時だった。
背後から気配がして振り返ってみれば、何やら車が来ていた。
ライトに照らされて、躯朧は眩しそうに目を細めた。
それでも眩しかったのか、手をかざし、光を遮る。
ふと、懐かしい声が耳に留まった。
その声の主は、確かに自分の名を呼んだ。
「……カーラード…!」
普段一切人との関わりを持つことを嫌い、笑うことも避ける躯朧がその顔に、笑みを浮かべた。
光の奥には、彼が待ち望んでいた友人がいたのだった。

おそ松さんgirl (プロフ) [5月6日 22時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

見事な程に花咲いたと例えるべきか、カーラードの姿を確認した相手はとても嬉しそうにしていた。実際、カーラードもそうだった。何故此処へ、どうやって俺の元へ。言いたい事、聞きたい事は山ほどあったが、それ以上に再会を喜びたかった。
その為にはまず、車をどうにかしなくてはいけなかった。慣れたハンドルさばきで車庫へ車を入れてしまうと、エンジンを切って鍵を抜き、車から降りる。そのひとつひとつの仕草に音などひとつたりとも聞こえない。
「久しいな、いつぶりだったか?」
バタン、とドアを閉めるとカーラードはにんまりと笑って見せる。あくどい笑みだと人は言うが、これは大昔からのカーラードの癖で、決して悪だくみをしているわけでは無い。
「まあ上がってくれ。色々積もる話があるのだろう?」
ぎい、と不気味な音を立てながら扉を開けたカーラードは久し振りに会った友人に向けて招いた。

蝙蝠 (プロフ) [5月7日 18時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

躯朧は、友人の車の操作をじっと見ていた。
車って何だろう、という疑問より、なんかすごい、という気持ちの方が勝ったらしく
「おお………」
と感嘆の声を漏らした。
友人が、昔と変わらない笑顔を見せてくれたお陰か、躯朧も少し素直になれた。
やはり、友人はすごい。
カーラードは、躯朧の数少ない“大切な人”なのだった。
扉を開けてくれた友人に躯朧は頷くと、小さな声で「お邪魔します……?」と呟くように言った。
どうやら、未だに人間社会の礼儀や作法がよくわかっておらず、馴染めていないようだった。

おそ松さんgirl (プロフ) [5月7日 19時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

恭しく挨拶をする相手に思わずくっと笑ってしまった。
それを取り繕うように一足先に屋敷の中へ入って行くと、カーラードはパチンと指を鳴らし、マントを翻しながら声高々に言った。
「明かりを灯せ!客人だ、謙虚に振る舞え!」
真っ暗闇だった屋敷はそのひと声で一気に明るくなった。此処でも矢張りと言うべきか、カーラードは蝙蝠を付き従えていた。火を扱えない吸血鬼だからこそ、身の回りの世話をしてくれる蝙蝠は何よりも大切な存在だった。
何よりも大切とは言ったが、別に一番だとかそう言った順番をつける事はしない。そんなことをしてしまえばカーラードは発狂してしまう。昔々に散っていった人間の妻だとか、ハーフにしてはよく生きた息子だとか。今こうして自分に会いに来てくれた友人だとか。
順番を付けるという行為はカーラードの心を掻き乱す行為なのだ。

蝙蝠 (プロフ) [5月7日 19時] 5番目の返信 PCから [違反報告]

友人の声一つで、先程までのおどろおどろしい雰囲気が消え去った屋敷に、またも躯朧は驚きつつ感動していた。
カーラードといると、色々な刺激があって面白い。
躯朧には家がない。休息の場がない。勿論、食料だって集めることは簡単じゃなかった。
だから、ここまで安心したことは、なかった。
友人がこうやって、今の自分も受け入れてくれていることを嬉しく感じた。
久々に人と会話できたことを、嬉しく感じた。
躯朧にとっては、屋敷の中のもの全てが物珍しく、変わったものを見付ける度、「…これは何だ?」とカーラードに問うのだった。

おそ松さんgirl (プロフ) [5月7日 20時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

オールバックにした髪を撫でつけながら整え、食事はどうしようかとカーラードは悩んだ。あのカーラード・ツェペーシャが誰とも知らない人間の血を見境なく集めているのだと知れば相手はどう思うだろうか。
チチッと舌を鳴らし、吸血蝙蝠を呼ぶ。
「彼奴には一番良いものを用意しろ。俺はいつもの物で構わん」
それでも、幸か不幸か若い女の血が手に入る時も稀にあった。それは大切に取ってある。客人用だ。カーラードはいつも若い男の血液を貪っている、老いたものは蝙蝠達やそこらでたむろする妖共にくれてやっている。
「そんなに珍しいものばかりか?」
マントを脱ぎながらあれはこれ、それはそれ、と嫌な顔ひとつせず懇切丁寧に教えてやりながら、カーラードは物珍しそうにする友人に笑みを浮かべた。
多少珍しいものはあれど、内装は元々の屋敷と大差ない筈なのだがな、なんて。

蝙蝠 (プロフ) [5月7日 20時] 7番目の返信 PCから [違反報告]

目を輝かせながら部屋の隅々まで見て回る躯朧。
友人の丁寧な説明のおかげで、大体のものはどういうものか、把握できた。
これで多少は、人間社会の常識なんてものが自分にもできただろうか。
そんなことを考えながら、部屋をもう一周していた。
外では、常に厳戒態勢でいた為、こうやって何かを観察するなどしたことがなかった。
ましてわからないものを人に聞くなんてことも、したことはない。
「…外は……生きづらい」
そう呟いて、ふっと哀しげな笑みを浮かべた。
大昔は良かった。
友人たちとも一緒にいられた。
昔のことを思い出して、少し前までの自分の状況を思い出すと、思わず深い深い溜息を吐いた。

おそ松さんgirl (プロフ) [5月7日 20時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

きっと相手は自分と違って吸血鬼らしく過ごしていたのだろう。
なんでもない憶測がカーラードの頭を過る。それは誇らしい事だな、とも思うし時代に逆らってはいけないだろうとも思う。だが、誰がどういった決断をしようとカーラードはカーラードの決断がある。相手を哀れむわけでも慈しむわけでもなく、ただカーラードは当時のように幼心を解き放っていた。
「ああ、この世界はとても生きるには呼吸がままならん」
長い爪が相手に当たってしまわないように、ぽんとその背を叩いてやる。
それが血液一滴分の善行だった。
「まあ、その話は追々するとして食事でもどうだ?」
十字架のネックレスをきゅ、とその手で握りながらカーラードは穏やかに微笑んで見せる。哀しそうに笑う彼へどんな言葉を掛ければよいのか分からなくなってしまったのだ。

蝙蝠 (プロフ) [5月7日 21時] 9番目の返信 PCから [違反報告]

「…そうだな。腹が減ってると……ろくな事を考えない」
カーラードの方を振り返り、頷きながら答えた。
あまり相手を困らせてはいけないな…そう思って、悩むのはやめにしたのだ。
カーラードといると、少し愚痴を言ってしまったり、こうやって哀しくなったりしてしまうのは、
多分相手に気を許しているせいだろう。
ふるふると首を千切れんばかりに横に振り、
「ごめん、カーラード…」と謝った。
そこ“ごめん”には色々込められていた。
急に来てごめんとか、悩ませてごめんとか、迷惑かけてごめんとか、
とにかく躯朧は、申し訳なさに押し潰されそうだった。

おそ松さんgirl (プロフ) [5月7日 22時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
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