劣情

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幸せな吐き気

特になし (プロフ) [2016年8月15日 1時] [固定リンク] PCから [違反報告・ブロック]

吐き散らす。先程食べた夕飯がそのままの形で出て来る。身体の中に有るもの全て出さなければいけない程の吐き気に襲われ、窒息しそうになりながら吐いた。
生理的な涙が頬を伝い情けないけど我慢する余裕なんて無い。
やがて胃から何も無くなるが吐き気は収まらない。幾度も嘔吐くが胃からは何も出やしなかった。
ぺた、ぺたぺた、ぺた。フローリングを素足で歩くとき特有の足音が聞こえる。今この家に足音を響かせる人間は1人しか居ない。
「…………だから言っただろう?」
後ろから堪らなく愛おしいテノールが聞こえる。憤慨する様な、落胆した様な、それでいて隠し切れない優しさを含んだ声。俺はこの声が大好きだ。
「お前はヘテロなんだから…俺を抱ける筈がない」
声の主が後ろに座り、俺の背中をさする。手付きが優しくて少しだけ吐き気が引いた。
「………性別を偽っていたのは謝る。まさかお前も俺に気が有るとは気付かず悪かった。………だが男だと言うのを信じないお前もお前だぞ」
後ろを振り返り彼と目を合わせる。何処をどう見ても女性にしか見えない顔。中性的な声。控えめなネイルアートに長髪。しかし胸の膨らみは無く、先程見た下着の下には俺と同じ器官が備わっていて。
「両想いだったのは嬉しいが、またな。来世で会おう」
彼は立ち上がろうとするが俺に手首を掴まれ、怪訝そうな表情をする。
「……………離して貰えないだろうか。」
「知ってたよ、君が男だったって事」
彼の目が驚愕に見開かれ、桜色の薄い唇が開閉し言葉を紡ごうとするが、それを待たず俺は続ける。
「………黙っててごめんね。」
「…なら、何故……こんな事をっ…!!」
彼は俺の手を振り解き俺から距離を取ろうとする。しかし俺はそれを許さず、彼の薄い身体を胸に抱いた。胸を手のひらで押されるが離してはあげない。
「………君の事が大好きだ。愛してるよ」
抵抗が止まっても腕の力は緩めない。こんなに近付いてもまだ足りないのだから、このどうしようもない渇きを止めるには身体を繋げるしか思い付かなかったんだ。



「………絶対に、抱くから」




ふにゅ、と唇に当たった何かの感覚に瞠目する。湿った暖かい物が口の中に入って来て、俺の舌を一撫でし、出て行く。




「……順序がおかしいんじゃないか?」




彼には俺の吐瀉物の味しかしなかっただろう、彼と俺との初めてのキス。
彼の舌は蜂蜜を直接流し込まれたかの様に甘くて甘くて、矢張り少しだけ堪らなく幸せな吐き気を催した。

特になし (プロフ) [2016年8月15日 1時] 1番目の返信 PCから [違反報告・ブロック]

一日ひとつを目標に、いっぱいいっぱい吐き出そう。

特になし (プロフ) [2016年8月15日 1時] 1番目の返信 PCから [違反報告・ブロック]
(C) COMMU